遂に帰国の日。
ローマ発、北京行き20:55分エアチャイナで私のイタリア一人旅は終わりを迎える。
今日はローマでまだ行ってない所を中心に出発までのんびり過ごすことにした。
バスに乗ってパンテノン、そしてナボーナ広場。
パンテノン前のレストランで、ピザとサラダとドリンクのセット14ユーロ。
食べ終わり会計をお願いすると、店員の陽気なイタリア人のお兄さんが「日本人はタダだぞ」とジョークを飛ばして来た。そしてハイタッチ。
ここまでは良かった。
20ユーロ札をお兄さんに渡し、お釣りを待っていたのだが、待てど暮らせど中々お釣りを持ってこない。
実はイタリアでは度々こういうことがあった。
私がお釣りを促すと、ようやく、しぶしぶと言った感じでお釣りの6ユーロ持ってきてチップを要求された。
よっぽどチップを払わず帰ろうかと思ったのだが、旅の最終日気持ち良く過ごすことを優先し1ユーロだけチップを渡した。
午後はローマの象徴的な場所でもあるスペイン広場へ。
階段に腰掛けのんびりと時間が過ぎるのを楽しんだ。
「日本人の方ですか?良かったら写真撮ってもらえませんか?」
振り向くと、新婚旅行だろうか。
20代前半と思われる若い日本人カップルがいた。
「もちろん!」
カメラを受け取り、幸せ一杯の若い2人を、バツイチおじさんがシャッターに収め続けたのだった。
ホテルに戻り荷物をまとめ空港へ向かくべくローマテルミニ駅へ。
ローマに着いた初めての夜とてつもなくビビりながらこの場所を歩いていたことを思い出す。
たった8日間なのに懐かしく思う。
空港へ向かう列車に乗り遠ざかって行くローマの街を眺めていた。
空港駅に到着。旅の初日にここで切符を買えなくてドギマギしてた事を思い出し、また笑ってしまう。
20:55分時刻通り飛行機は飛び立ち、北京で乗り換え無事にセントレア空港へ到着。
遂に私の小さな冒険は終わりを告げた。
無事にセントレア空港に到着し帰宅する為に駅へ向かう。
切符を買おうとした私の前に、大きなバックパックを背負った外人が一人で立ち尽くしていた。
初めて日本に来たのだろうか?
とまどっているように見える。
必死に首を左右に振り周りを見回し、電車の時刻と行き先を目で追い、右手には大きなガイドブック。
切符の買い方がわからないのかな。
困っているように見えた。
どうしよう。
声をかけてみようか?
助けてあげようか?
そう思い一歩踏み出した、その足を私は止めた。
やっぱり、声はかけない事にした。
なぜなら。
彼が、旅を楽しんでるように思えたから。
完。