皆様こんにちは。
ハンチングで御座います。
タイのリタイアメントビザ取得への道その1 - FIREでタイ移住。
ドキドキしていた。
タイのリタイアメントビザを取得する為に400万円をハンドキャリーで大阪からタイの銀行口座へ運ぶのである。
大阪の郵便局でお金を引き出し局を後にする。
ヨレヨレのTシャツとシワシワの短パンというダメ人間用ユニフォームに身を包み、背中にはお金の入ったリュックを背負う。
10m進んでは後ろを振り向き、また歩いては振り向く。交差点の信号待ちも普段ならば前を向いてぼーっと待っているのが常なのだがぐるりと回ってみたり挙動不審な者が居ないか確認しながら歩いているつもりなのだが、自分が一番挙動不審なのである。
途中スーパーが見えてきた。そういえば夕飯買ってなかったな。
仮にこのスーパーを素通りすれば、帰路の後400万円を虚室に残してまた用を足しに出かけねばならぬことになる。
その両方を天秤にかけた結果、スーパーに入店し握り寿司に加え一歩も外出せぬ決意で空腹時の保険の菓子パンも購める。
大金を背中に背負いながら安い握りと菓子パンをぶら下げて歩く様は、自分が金持ちなのか貧乏なのかよく分からぬなんとも奇妙なアンバランスを醸し出す。
とにかく無事に帰路には着けた。
クローゼットからバックパックを引っ張り出し荷造りを始める。
最重要のお金をどの辺りに放り込むかしばし悩んだが、最下段でもなく、最上段でもなく四方を荷物に囲まれたど真ん中へ置くこととした。
翌朝。
7キロ丁度に荷造りしチャックの留金に固く南京錠をかけたバックパックを背負い関空へ。
さすがに日本の空港までは大丈夫だろう。
南京錠とバックパック7キロのその重さ自体がある意味セキュリティー効果をもたらしている気がして昨日よりだいぶ安心感が増した心境。
こんなんなら昨日の郵便局へもこの南京錠付のバックパックで行けばあんなにヒヤヒヤしなくて済んだのではないかと今更ながら反省した。
難波から南海へ飛び乗り6時49分関西国際空港到着。
関空からバンコクへ向かうエアアジアは3日前に新規就航したばかりでカウンターの列も20人くらいだろうか。それほど多くない。
Webチェックインを済ませて居たので、その列に並ぶ事もなく僅か2分ほどで発券手続きは終わった。
2階のTasty Streetなる食堂街で最後の和食を食した後、保安検査場へ。
保安検査場も5分ほどで通過し税関へ向かう。
100万円以上の現金を持ち出す場合、税関にて申告手続きが必要になる。
今まで海外へ赴く際に100万円以上の現金を持って出て行く経験なぞあるわけもなく、果たしてその税関なるものがどこにあるのか検討もつかなかったのだが、その税関たるものは保安検査所を抜けエスカレーターで1つ降りた出国審査場の目の前にあり、ここは毎回通って居たはずなのだが普段気にしてないと目に入らぬものである。
税関職員へ400万円を持ち出す旨を伝えると、細長い1枚の紙への記入を求められる。
氏名、住所、電話番号、パスポートナンバー、それと金額を記入する。
『すみません、一応お金を見せてもらえますか?』
横を出国審査へ向かう旅行者が行き交う忙しない場所で、バックパックを引っ掻き回しようやく封筒に入ったそれを見つけ札束の厚みだけちらりと職員に見せる。
『よろしいです。お気をつけて』
400万円を持ち出す理由も聞かれなかったのはちょっと意外だったが、時間にすると5分くらいだろうか。拍子抜けするほどあっさり税関申告は終わった。
今回乗るエアアジアで自動振り分けされたシートは、こともあろうかリクライニング出来ぬ最後列の3席並ぶ真ん中という考え得る中で最悪の座席だった。
エアアジアは前方にクワイエットゾーンと言って少しだけ高い値が貼られている座席エリアがある。だいぶ迷ったのだが今回だけは安全策で民度の高そうなそちらを3300円の追加料金を払い買うことにした。
出国審査も通過し出発の時が迫る。
ファイナルコールが鳴り響きエアアジア機内へ歩を進める。
搭乗率は15%位だろうか。その客も機内中程から後方に多くいて、前方クワイエットゾーンは数えるほどしか人がいない。追加料金を払った甲斐がある。
エアアジアには悪いが今日だけはこの環境はありがたい。油断大敵だが機内での窃盗リスクはかなり低い気はする。
心配なのはバンコクに着いてからなのだが。。。
アナウンスが流れ予定より30分ほど遅れてエアアジアの機体が動き出す。
滑走路に移動しエンジンが轟音を立てて加速してゆきフワッと機体が浮き立った。
エアアジアがバンコクへ向けて飛び立った。
つづく。