イタリア旅行6日目。
ピサ、フィレンツェ観光を終え、フィレンツェ駅からローマにユーロスターに乗って帰る。
だが自動券売機で買ったはずの切符が出てこない。
駅員にそれを相談するも『STORNO!』の一点張り。
結局、もう一度ローマ行きの切符を買い直して19:10分発のユーロスターに乗った。
日曜の夜、車内はほぼ満席だった。
ユーロスターは4人掛けのテーブルを挟んだ対面席だ。
私の対面にはイタリア人の高校生カップルが仲良く座っている。
そして私の隣には20代後半位だろうか?ブロンズ色のロングヘアーが美しい女性が座っていた。
私は改めて切符を買い損ねた時に出てきたレシートを眺めた。
『STORNO 45ユーロ』
やはり『STORNO』の意味が気になって仕方ない。
私は思い切って隣に座っているブロンズ髪の彼女に声を掛けてみた。
ハンチング
エクスキューズミー、英語話せますか?
彼女
少しだけなら。
ハンチング
STORNOって何ですか?
私はつたない英語でフィレンツェ駅での一部始終を説明した。
彼女は私のレシートを手に取り考えている。
そして対面の高校生にもレシートを見せながらイタリア語で色々話してくれてる。
高校生カップルはどうやらイタリア語オンリーらしい。
なので3人の会話は全く分からなかった。
色々頑張ってくれたが、彼女の答えは『Sorry I don't know』だった。
それから15分が過ぎた。
すると彼女が私に話しかけてきた。
彼女
今、インターネットで調べてみたんだけど。
なんと彼女、私の為に自分の携帯で言葉の意味を調べてくれていた。
そして英語で一生懸命色々説明してくれた。
只、私の語学力が足りなすぎてほとんど分からなかった。
『あなたはとても親切だ』と言うと、彼女はにかんだ笑顔を見せてくれた。
彼女はイタリア人らしい。
ハンチング
出身地はどこ?
彼女
ナポリ
ハンチング
ナポリからポンペイって近い?
彼女
電車で30分よ。
ナポリかぁ。
実は本音を言うとナポリ、ポンペイには前から興味を持っていた。
ただ。
イタリア来る前はナポリ、そしてポンペイ方面には行かないでおこうと考えていた。
何故ならイタリアでもトップクラスに治安が悪くスリが多い街と聞いていたからだ。
ローマテルミニ駅が近づいてきた。
私は最後に『グラッツェ』と言って、バックに入ってた日本のキャンディーをお礼にあげて彼女と別れた。
明日もう1日だけフリーな観光日が残ってる。
どうしよう。
ナポリってどんな街なんだろう?
行ってみようか?
ナポリに行く事を半ば諦めていた、そんな臆病な私の心はゆれていた。
つづく。