インデックス投資でアーリーリタイア

2021年長年勤めた会社を40代でアーリーリタイア。大阪を拠点によしもとお笑いライブ観覧と阪神タイガース応援と旅中心ライフ。インデックス投資歴18年目。

続・小アリとの戦い

此度のタイ移住で選んだ安部屋は入居初日より小アリの襲撃に頭を悩ませていたものである。

 

 

移住初夜にはトイレの一角に1mmにも満たない小アリが1万匹ほど現れ、俄かに疲労困憊の体に追い込まれてもいたのだが当たり構わず殺虫剤を撒き散らし一旦は駆逐に成功したかと思ったが翌朝覗くとまたぞろ小アリが現れてくるのである。

当初侵入経路はトイレ上部に備え付けられている小窓かと思ったのだが、どうもそこではないようなのである。

壁に亀裂が入っているのかと目を凝らしたがそうもなっていない。

そうなると俄かに怪しいと思われるのは便器横の床に、ちょうど野球ボール1つ分の大きさで空けられている排水溝しか無い。

そこでスーパーマーケットに走り、長いノズル付きの殺虫剤を購める。

No1ジャパンプレミアムクオリティーらしきその殺虫剤をぶら下げ自室に戻り、これでもかと排水溝の奥底目掛けて噴射する。

翌朝。

恐る恐る覗いてみるとやはり小アリがいる。

いや、いるにはいるのだが数はグッと減って10匹ほど。しかもその全部が死んでいるのでやはり排水溝が侵入経路で間違いはないようなのである。

しかしあれだけ殺虫剤振り撒いたというのに何たる生命力。

完全駆逐に失敗して酷くがっかりした面持ちで朝飯を食べに外出する。

飯を食べて自室に戻るためエレベーターに乗り込むと、そこに大きな段ボールを抱えた同じ住人と思しきタイ人女性が同乗してきた。

その段ボールの外観には何やら人参やら玉葱などのイラストが描かれていて『産地直送野菜』を連想させるその荷物を大事そうに抱えている。

僕は彼女の抱える段ボールを眺めて思わずギョッとした。

なんと段ボールの周囲を僕が駆逐に苦労しているあの小アリ達が数十匹も蠢いているのである。

ギョッとした顔で眺める僕の横でまるで小アリの存在など無いかの如く涼しげな顔でその荷物を自室に持ち込んでゆく逞しいタイ人女性の姿を目の当たりにして、小アリとの戦いで疲弊している自分がなんとも情けなく思えてきたのである。

この国で生きてゆくには駆逐に神経を尖らせるのではなく、虫と共存してゆく気持ちの方が大事なのかもしれない。