携帯が震えた。
管理会社からの電話だった。
『確かにお客様のお部屋の上階とお隣の部屋、マンスリーで貸し出しされている事が確認されました』
やはりそうか、そうだと思ったんだ。
だがその後に続く答は予想もしてないものだった。
『私どもが管理しているのはマンションの建物共有部のみでして、お部屋はそれぞれオーナーが違いますので管理会社も違います。上階と隣室は私どもの管轄外です。ただその旨を相手方のオーナー及び管理会社へお伝えしておきます』
確かに分譲マンションなる物件は部屋ごとにオーナーは違うわけで、そのオーナーが管理会社を選ぶことでそういう状況は起こり得る。
尤も購入した分譲マンションを己で利用するならばそもそも管理会社など挟む必要など要らぬはずだが賃貸なり民泊で利益を得ようとすればそれも必要だろう。
一旦相手方からの回答待ちという形になったが民泊を管理運営している、その管理会社とやらの答に期待感が湧き上がって来るどころか絶望感さえ漂う。
もはや解決策は一つしかないように思えた。
頭にある人物が浮かんだ。
3年前に大阪で無職の僕が部屋探しをした折にお世話になった不動産屋の親切なスタッフ。
僕は引き出しの奥底から1枚の名刺を引っ張り出しその人物へ連絡を入れた。