皆様、こんにちは。
ハンチングで御座います。
タイ移住するに当たり、日本の拠点をどこに残そうかと考えている。
候補は2つで沖縄か大阪。
那覇はタイからのフライト時間も短くて良いのだけれど、現状、直行便が飛んでいない。加えて家賃も4万からと言った感じだ。
生活の力点はタイに置きたい僕にとって、出来るだけ日本の拠点は節約しておきたい。
そこで、ふと思いついたのが、関空のある泉佐野市に部屋を借りたらどうだろうか。
家賃を検索すると、思いの外安い。
普通に3万前後の物件があるではないか。
翌朝、名古屋発の朝一番の近鉄に飛び乗り、難波で南海へ乗り継ぎ、泉佐野駅に降り立ったのは午前10時ちょうどだった。
初めて降り立つ馴染みのないその駅を背にして、駅前に鎮座した、とある不動産屋へ飛び込んだ。
すみません、部屋を借りたいのですが。
対応してくれたのは、30代と思われるハキハキとした受け答えが印象的な女性だった。
どのような物件をお探しですか?
僕は前日にリストアップしていた4件の物件名を伝えた。
どれも泉佐野駅まで徒歩で行ける3万前後の物件だ。
お仕事は何をなされているのでしょうか?
来た。
この質問。
正直に答えるならば、仕事はアーリーリタイアしたので無職です。
さらに加えると、資産運用の運用益で暮らせるので、この先も働くつもりはなく、大阪とタイに物件を借りて、日本とタイを行ったり来たりのデュアルライフするつもりです。
になるわけだけど、馬鹿正直に答えると、怪しさが光り輝いてしまいそうである。
なので、5月に退職して無職ですが、就活中です。
なぞと、当たり障りのない返答をした後、貯金は1000万以上はあるので、家賃は払えます。
と、無職だけど支払能力はありますという事を最後に念押しもした。
女性の反応も、それなら大丈夫です。のような雰囲気で、ではこれから内覧へ行きましょうかと言い4件の物件を順に見て行くことになった。
この泉佐野の3万円ほどの家賃のアパートを順繰りに見ていったのだけど、どれもこれも今、僕が住んでいる3万円の豚小屋とは比べ物にならない位、綺麗な物件ばかりで小躍りする思い。
全部見た後、第一希望と第二希望まで絞り込み、それを伝えると、ちょっと審査会社に無職の方でも借りれるのか確認しますと言う。
分かりましたと待つ事数分。
電話越しの女性の声のトーンが明らかに暗い。
ちょっと確認してみたのですがこの第一希望の物件、無職の方には貸すことが出来ないようです。
と、なんとも申し訳なさそうな表情で僕に伝える。
あの、僕、貯金もありますし、支払い能力はあると思うのですが、銀行の残高証明を見せるのでそれでもダメですか?
そう聞くと。
すみません。額の問題ではなくて、毎月、収入が無いと無理とのことで。。
と言う。
第二希望のほう確認してみますね。そう言って電話を取りまたぞろ、審査会社とやらに確認を入れるも、ここも答えは一緒だった。
結句、貯金もない月収10万のフリーターには部屋は貸せるが、どんなに資産があっても毎月の収入がないと貸せないと言うのだ。
前者と後者どちらが安定して家賃を払えるかなぞ明白なのに、無職の時点で落選だと言うのだ。
ならば、ハローワークに通うので、毎月、失業給付がしばらく貰えるのだが。
と粘ってみたが、収入でないとダメだと言う。
4件内覧した内の、第四希望の物件なら審査は通ると思います。と言う。
話を聞いていくうちに分かったのだが、無職にも物件によっては、貸してくれる物件もないわけではないらしい。
その基準は、審査会社と大家の意向が関わっているらしく、貸してくれる物件もある一方、「無職」の時点で失格の烙印を押し、審査にさえ進めてくれぬ審査会社と大家は確実に居る。
この日本において、無職の部屋探しとは、賃貸物件に全くありつけないことはないのだけれど、己の希望する第一希望物件に入れるか否かは、こちらに選択権があるわけではなく、その選択権は相手の審査会社と大家がガッチリ握っていて、こちらの希望なぞ、秋風に吹かれる木の葉のように簡単に吹き飛ばされるのだ。
第一希望と第二希望は無理でしたが、こちらの第四希望なら住めますよ。
これでは心が折れる。
第一希望と第四希望の物件は、ほとんど同じ間取りなのに、家賃が9千円も違うのだから。
加えて、その第四希望でさえ、保証会社との契約のほかに、保証人を付けねばならず、契約にはその保証人の印鑑証明と本人直筆のサインが必要と言う。
僕、実家が岩手なのですがというと、保証人の方と郵送でやり取りして貰うことになりますね。と言う。
僕はうな垂れてしまい、その姿をみた女性スタッフは。
ご希望に添えず申し訳ありませんと繰り返す、僕の方もこちらのほうこそ時間を取らせてすみませんと頭を下げて泉佐野を後にした。
大阪難波から近鉄に乗り、名古屋に向かう車中、このブログを書いている。
窓から流れる素朴な風景を見ながら、もう行ってしまおうか、あの国へ、という思いが募る。
無職でも外人でも分け隔てなくコンドミニアムを貸してくれる、あの南の国へ。