皆様、こんばんは。
先日、私用で名古屋へ行く機会がありました。
その名古屋へ電車で向かう時の車内での出来事です。
私の住んでる最寄駅から電車に乗り込み2人掛けの窓側の席に腰を下ろした私。その私に声をかけてきた一人の青年。
青年 す、すみません。と、となりいいですか?
たくま どうぞ。
たどたどしい日本語で声をかけて来た東南アジア系の青年。
「さて、こんな所になんで彼がいるのだろう?」
少しだけ興味を持った私は思い切って彼に話しかけてみた。
たくま どこの出身ですか?
青年 フィリピンです。24歳です。
彼はフィリピンから外国人技能実習制度を利用して今年の3月に生まれて初めて日本へやってきた。そして3年間日本に滞在し技能を習得。母国へ帰国してその技術を生かして起業したい、自分で会社を立ち上げたいと言う夢を抱いて単身、日本へやって来たと言うことだった。
(ちなみに以降の会話は彼が片言の日本語を話せたので成立してます。私は英語はほぼ話せないのその点だけ先に皆さんへお伝えしておきます)
たくま 日本語はどこで学んだの?
青年 フィリピンの日本語学校で2ヶ月学んできました。
たくま どんな仕事してるの?
青年 ガラス加工工場で働いてます。
一体どんな内容の仕事を任せられてるのだろうか?
片言の日本語で本当に母国へ帰って実になる技能習得出来るのだろうか?
その工場は本当に彼の未来の為になる技術を教えるつもりはあるのだろうか?
もしかして低賃金で単純労働をさせられているのではないか?
いろんな疑問がわたしの心の中を駆け巡った。
私は失礼かとは思ったが思い切ってストレートに給料を聞いてみた。
青年 15万円です。
些か安い気がするが日本の片田舎の工場ならこの位なのだろうか?
常識外れの低賃金で働かされてるわけではない事に私の心は少し安堵した。
青年 でも寮費が高いです。
たくま いくら?
青年 5万円です。
5万円。。
ちなみに私のアパートは1Kで48000円だ。
敷地内にある寮にしてはなんだかちょっと高い気がする。
たくま アパートは個室?
青年 いえ、2人でシェアしてます。
たくま おぉ、ならば良かった。2万5千円づつだね。
青年 いや、一人5万円です。
!!!!!
馬鹿な。
私の住んでる街の家賃はそんなに高くない。
しかも会社の敷地内にある寮だぞ。
青年 それと、ガス、電気、水道が2万円です。
たくま 2人で2万円?
青年 いえ、1人が2万円です。
つまり話をまとめるとこうだ。
彼は毎月15万円の給料をもらっている。
そこから家賃5万円と光熱費2万円が引かれる。
8万円が彼の手取り収入の全てだ。
ぼられている。。。。
彼を雇っているこの工場は名目上は15万円と言う賃金を彼に払っている。
だが家賃と光熱費と言う形で彼からお金をむしり取ってるのではないか。
そして結果的に物凄い低賃金で彼を働かせている。
彼は手元に残った8万円で日本での生活費を賄い、さらに貯蓄して母国に帰った後、起業したいと目を輝かせて話していた。
ぼったくられているのではないか?
貯蓄は難しいのではないか?
彼の未来へ繋がるような技能をその工場では教えてくれないのではないか?
色んな言葉が私の脳裏をよぎったが、その全ての言葉を私は自分の胸に閉まった。
電車が終点の名古屋駅に近づいて来た。
最後に青年は私にこんな言葉を残した。
青年 私は日本が大好きです。
私の胸がキュッと苦しくなった。
その言葉を残して彼は名古屋駅の雑踏に消えていった。
雑踏の中、小さくなって行く彼の背中を見つめながら私は小さい声で呟いた。
「頑張れ」と。